韓くに幾山河(1969→1984)
藤本巧写真集 



沢木 耕太郎


藤本巧の写真集『韓くに幾山河』のページを繰っていくと、
しゃがみ、佇み、腰に手を当て、笑う老人たちの姿が見えてくる。
あるいは、草花を持ち、妹を背負い、こちらを見つめ、
やはり笑う子供たちの姿が見えてくる。


『韓くに幾山河』藤本巧写真集 序文より抜粋

金海(慶尚南道)

共同井戸(金泉)

納戸(金泉)

並木(慶尚道)

農夫(金泉)

古老(金泉)

金海(慶尚道)

牛小屋(慶尚南道)

登窯(慶尚南道)

石の里(慶尚南道)

農村(慶尚道)

農村(慶尚道)

金海(慶尚道)

金海(慶尚道)

金海(慶尚道)

金海(慶尚道)

金海(慶尚道)

石の村(慶尚道)

農村(高霊)









     ポプラ並木が延々と続く舗装されていない田舎道を、


     車は砂煙をたてて猛スピードでお寺に向かって走った。お寺の参道に入る前に、


     こんもりとした藁葺き屋根の民家が、寄り添いながら呼吸しているように私の目に映った。


     車から降りると、土と藁の懐かしい匂いがした。(中略)


     空・木・藁屋根・土壁、そして石積みが美しく構成され、自然に一体化して佇んでいた。


     ”生きた美しさ”が押し寄せてくる。




      藤本巧写真・編『韓くに、風と人の記録』取材ノート「美しい村里」より抜粋