厨房
かって、ソウルに
「へジャンクッ通り(通称)」という
名の通りがあった。
食堂
今でも鍾路区に数軒、その面影を
残している。
牛の血の煮こごりスープをヘジャ
ンクッという。
精力がつき、また酒を飲みすぎた
翌朝に食べると酔いざましとなる。
食堂のアジュマ
ヘジャンクッの店は、朝早くから
営業している。
夜明けまで飲み明かした遊び人や、
登山に行く前の人たちが、
精力をつけようと
こぞって湯を食べる。
だから、むかし夜回りの警官と泥棒が、
ヘジャンクッの店で鉢合わせになった
という話も聞いた。
「お店、はやっていますね」
と店の人に言うと、
「日本のテレビ局も、ずいぶん取材に
やって来たよ」と
ソウルオリンピックのころを
懐かしみながら、
主人は延々と自慢話をし始めた。