海割れ
珍島
藤本巧
毎年旧暦の2月末日(新暦の4月末日)、珍島郡回洞里と義新面芋島里に奇跡の橋が架かる。
海が割れる前のひととき、民俗行事がにぎやかに行われる。農楽隊は旗をなびかせ音を奏でながら、海が割れる場所に向かって進む。
祭りに参加する島人
珍島への地図
農楽隊
さっきまで何の気配も感じられなかった海に、いつのまにか遠くまで一筋の道が続いた。人々は嬉々として渡りはじめる。
島人
急いで芋島里まで渡り切ろうとする観光客、隆起した岩や砂浜につく海苔や貝を採りあさる島人たち、いろいろである。
海割れ
上空では、韓国のテレビ局のヘリコプターが旋回している。1時間ほどの奇跡のショーが終わりに近づいたころ、砂浜にジャリを敷いただけのバス停に観光客がひしめき合って並んでいた。
海苔や貝を取りあさる島人
「乗せてほしい」と車掌に掛け合ったが、そっけない返事。
旅人は木浦への道が途絶え、やむなく珍島の民宿に足止めをくってしまった。
見物客