連載・韓国ひとり歩き 1991.04→1995.03(NHKテレビ アンニョンハシムニカ ハングル講座より抜粋)



両班の里

良洞(慶尚南道)

藤本巧

慶州市から田舎道を北へ向かって約1時間車を走らせたところに、良洞(ヤンドン)の民俗村がある。
夕陽に照らし出された田園の小高い山の中腹に藁葺き屋根が点在し、

旧街道ポプラ並木




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良洞民俗村への地図


良洞 民族村


いちばん高いところには立派な瓦屋根の両班(ヤンバン:高麗・李氏朝鮮時代に文武両官に任ぜられた特権階級)の家があった。
大門の左右に重みのある土塀がつながり、香壇の大木が塀を超えて枝を広げていた。
門を入ると庭を隔て舎廊房がある。


族譜 家系に関する記録


正装した当家の主が、私を迎えてくれた。
招じ入れられた書斎の机の上には、分厚い族譜が何冊も積まれていた。








当主は、この地にこもり、地主として、また「知識人」としてこの里を守り続けてきたという。
旧両班階級の家を中心に、150戸の農家からこの村を成り立っている。

両班 孫氏


高度成長をなしとげた韓国の都市生活から逃れ、一旅旅人にすぎない私はうまく自然と調和し合ったこの牧歌的な里の佇まいの中に懐かしさをしばしつのらせていた。


家主の棟 大門よりみた楼台