昔度輪[美術評論家]
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藤本巧君と私は幾度か一緒になって旅をしました。 巧君にしてはもの慣れないお寺を詣でたり、お葬式に出会わしたり、或は古老たちの閑話する処茅亭にて憩ませてもらったりしました。 |
季節は雪のときもあり、盛暑のときもあった覊旅でした。 それがこのような巡礼行記になったらしい。 私は写真のことはよく知りません。只お寺とか喪服とか古老たちとか彼氏に異様にうつったようです。何枚かを見せて貰ったのですが、
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色褪せて渇いた習俗の中にも素朴清冽なる不思議な印象が汲みとられていることはこれは、彼の眼でしょうか、寂々幾山河を超えた名残りでしょうか。
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