どす黒い雲が釜山の港町を覆うように
広がっていく。
陽はまだ沈んでいなかったが、
ポジャンマチャ(布張馬車)
のアジュモニたちはカンテラ
を灯しだした。
夕食までの少しの間に、
旅人は影島大橋を渡って影島まで
出かけることにした。
影島
玄界灘に突き出た断崖絶壁の
太宗台の岬では、
恋人たちがデートを楽しんでいた。
影島大橋
高所恐怖症ぎみの旅人は、
大きな岩を恐る恐る降りていった。
荒波が岩の磯辺を洗い、
一瞬黒い空とは対照的に
白い泡の膜が広がり、また消える。
恋人たちの声も
波の音に吸い込まれていく。
自然の厳しさが、
海風に乗って伝わってくる。
モノトーンの風景の中で、
旅人はシャッターを切った。
影島大橋周辺
晴れた日には、
この岬から遠方に対馬が見える。